衣の編
衣類の劣化    衣類も年を取ります。高価だから、あまり着ていないからといっても、新品のままではありません。最近、ストレッチ素材の伸縮性のある洋服が流行っています。この繊維は「ポリウレタン」が使用されています。ゴムが硬くなって弾力性を失うように、ポリウレタンの衣類も劣化します。数年着用してから、ドライクリーニングに出したら、表面に亀裂のようなスジができた、こんな事もあります。それはクリーニング事故ではありません。劣化が表れていなかっただけで、クリーニングすることで顕著に表れたということです。
色彩感情  色にも感情があります。正確に言うと組み合わせによっても喜怒哀楽の感情表現が異なります。世界的に好まれる色は「青」です。アメリカではヤンキーブルー、フィンランドではフィンランドブルー、トルコではトルコブルー。日本では藍色でしょうか。Imacのベースの色もブルーですね。戦争は赤と黒。安全は緑や白。キリスト教のピューリタンのシンボルカラーは青です。商品のグローバル化を思うと、パッケージの「色」で作り手の意図も分かるかもしれませんね。
紳士服の女性化   イタリアンファッションが定着し始めた頃から、紳士服、スーツの素材も女性化が普及してきました。所謂、ソフトスーツに代表されるものですね。ハードスーツのカチッとしたラインから、女性服のソフトなラインが紳服にも取り入れられています。苦情も変化しています。ソフトで撚りの甘い生地が好まれ、同時に激しい動きには不適当な素材です。営業で車に乗る時間が多い男性はヒップのポケットの辺りの擦れが激しいはずです。お洒落着と仕事着の区別は必要ですし、商品知識と商品説明も重要です。
クリーニングへの苦情   クリーニングに出した衣類が出す前と違っているという苦情があります。次のシーズンに着用するまでクリーニング店の袋から出していないこともありがちです。お店に苦情を申し出て主張できるのは返却された日から6ヶ月です。まして、袋から出していなければ、収納専用ではない袋に長期間保存していたことにもなり、化学反応のガス退色の事故が起きる可能性もあります。返却時の即時のチェックと正しい収納をこころがけましょう。
虫食い   ウールやニット製品は害虫の好物です。なにが美味しいのでしょう?それは食べこぼしや食品のシミ、汗などのたんぱく質です。汚れが見えていなくても、汗はついていますね。それが虫食いの原因になります。早めのお洗濯、お手入れがお気に入りの衣類へのマナーです。
油性・水溶性の汚れ   汚れには油性・水溶性の汚れがあります。泥はねなどの成分は油性です。汗は水溶性です。油性の汚れはドライクリーニングで落ちますが、水溶性の汚れはドライでは落ちません。犬や猫のおしっこはドライに出しても臭気は取れません。水洗いの対象です。汚れの種類がわかっていたら、クリーニング店の受付で申し出ましょう。洗い方を『選択』します。
洗剤   洗剤には合成洗剤・粉石けん、弱アルカリ性洗剤・中性洗剤などがあります。合成洗剤には蛍光増白剤が含まれています。増白剤は汚れを落とすのではなく、白く見せる働きをします。生成り・オフホワイトの生地の衣類を洗うと真っ白になり、もう生成りには戻りません。また、洗剤をよく溶かさず、洗濯すると衣類に洗剤のかたまりが付着し、その部分だけが漂白され色が抜けます。生成りの製品は中性洗剤を使います。洗濯表示をよく読みましょう。
パーマ液   美容室でパーマをかけ、襟もとの生地が変色した経験はありませんか。パーマ液は水溶性なので、直接美容室で着く以外に、パーマをかけた直後に雨に当たったり、汗をかいて首筋が濡れると、溶けた液が襟元に付きます。すぐに水洗いをすると、それで解決しますが、気づかずに乾燥してから、ドライクリーニング出すと、化学反応を起こします。パーマをかけるときは水洗いのできる服で出掛けましょう。
表面フラッシュ   生地が毛羽立って、着火しやすい毛羽の部分に調理中などに火がつくと瞬間的に炎が表面を走ります。これを表面フラッシュ現象といいます。綿・レーヨンなどは危険性が大きく、高齢者の衣類選びには素材に注意が必要です。
家庭でドライができる洗剤   家庭でドライ洗いができると謳った洗剤が売られています。家庭でドライクリーニングはできません。この洗剤が洗える対象は「水洗いができる」衣類です。従来売られている「お洒落着洗い」の洗剤と用途は同じです。エマール・アクロンなどは従来品です。ドライ洗いの洗剤は価格が高いので、効果も際立つ印象を受けますが、テスト結果は従来品と変わりません。